自動車が、我が国の産業・経済の要として広く一般社会に「幅」をきかせています。今や、国民の二人に1台という割合で車を持っている、という時代を迎えています。そして、安全を意識せずして一歩も歩けないという交通事情が現実のものとなっています。 こうした状況を背景に、毎日どこかで交通事故が発生し、日本では戦後50年の間に50万人以上の尊い人命が失われています。新聞やテレビで報じられている交通事故のニュースを、私達は他人ごとのように、或いは一時的な感傷だけに終わり、次から次へ流される報道に、私達の心まで流されてはいないでしょうか。悲惨な交通事故。それは一家の大黒柱であった場合、幾人かの遺族が奈落のどん底の生活を強いられるという大きな損失を受けることになり、これが計り知れない社会的影響へとつながってゆくのであります。 (公財)大阪交通災害遺族会には、このような遺族(母子家庭・父子家庭・両親をなくされた家庭等)が70%以上を占め、うち95%が母子家庭となっています。衣食住から育児・教育・ほか、生活に関わる一切の条件が、かよわい母親の細腕に重くのしかかるため、定職にも就けず、内職やパートタイマー等で細々と生計をつないでいるような実情であります。 交通事故という一瞬の出来事のため、薄幸な環境に追い込まれた交通遺児を温かく育て、次の社会を担う人材として育成することは「車社会」という時代をつくった社会全体の連帯責任であろうかと思います。交通遺児を次の時代の有用人材として育成し、同時に、会員相互の連帯と親睦の輪を広げ、「明るい福祉社会」づくりを目指すことは、大阪交通災害遺族会の福祉活動の根幹であります。 本会では、この目的を達成するため、次項以降に掲げる事業を行い、一方では、これらの啓発活動を展開して、広く皆様方からのご支援をお願いいたしております。何卒この趣旨をご理解いただき、各方面からの温かいご支援ご協力をよろしく お願いします。 理事長 本津 小夜子 |